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自分は死なないと思っているヒトへ―知の毒 (だいわ文庫)

自分は死なないと思っているヒトへ―知の毒 (だいわ文庫)
養老 孟司
自分は死なないと思っているヒトへ―知の毒 (だいわ文庫)
定価: ¥ 780
販売価格: ¥ 780
人気ランキング: 9585位
おすすめ度:
発売日: 2006-12-10
発売元: 大和書房
発送可能時期: 通常24時間以内に発送

不自然な日本の都会。
とても面白いハナシでした。一つのテーマに絞って話が進められているのではなく、著者のその時々の頭の中にあった小片がまとめられた、そんな感じの一冊。著者の以前からの主張である、都会という人間の意識の結晶と自然という人間の意識ではどうにもならないものとを対比させて語られている。日本人のユニークさは、都会を作りながらも、都会生活をなりたたせるために必要な都市型宗教をもっていない点で、自然と人間の暮らしを無意識に調和させてきた歴史を持っている。その典型が里山で、独特の生態系を生み出している。この先日本人が進むべき道を暗に示しているように感じられた。解剖学という視点は実にユニークで面白く惹きつけられる。少し変わった角度で今の暮らしぶりをみてみたいという方に向いているように思います。

やや散漫、でも面白い
予定がいっぱいで生活がカチンカチンになってしまう「時間病」、そして頭で理解できないことは拒絶する「脳化」=都市化の中で、自然な出来事であるはずの死はどんどん疎外され続けてきた。我々人間こそが無意識の中で日々変化し続けていることを再認識し、仕方ないものは仕方ないと受け止め、目を向けるべきものはしっかり言語化していこう、という本。

内容的には『死の壁』とあまり変わらないどころか、8つの講演を1冊にまとめた本書の中にさえ、同じ話(ブータンの虫取りなど)が何度も繰り返されていてうんざりしたり、宗教や経済など著者の専門外のことについての考察(仏教は自然宗教であるなど※)などについては稚拙とさえ思われる箇所もあったりしたけれども、生と死について考えるときには貴重な視点を提供してくれる。

死体は「もの」、生きている人は「人」だが、二人称の死体(家族など)については「もの」とはいかないところから、「もの」や「人」というのはその共同体(「世間」)で決められた約束事であり、つまるところ恣意的な名前の付け方であるというところや、ものを知ることは自分が変わっていくことであるはずだという卓見は、なるほどと思うだけでなく、自分の問題として深く考えさせる。

著者の本が刊行過多なのは著者のせいだけではないと思うが、あまり大風呂敷を広げず、解剖学から言えることをもっと発信してほしいと思う。

※仏教は自然宗教
インド仏教は都市を基盤にしており、また日本仏教も都市生活者である貴族・皇族のものとして広がった以上、今のお寺が「山」にある程度で単純に自然宗教などということはできないはずである。

都市化することと脳の関係についてわかりやすく解説
ゴキブリが嫌いな人間は多い。
大の大人が、素っ裸で街を歩いていたら、わいせつ罪で逮捕される。
それはなんでか?
意識の中で設計書にないことだからだそうです。
頭の中で合理的ではない、と判断することを都市や脳みそは排除するのだそうです。
バカの壁か何かでよみましたが、
「脳化」が進むと、非合理的なことというのは排除される。
ゴキブリ、裸で闊歩する大人、これはとても非合理です。
自然というのは非合理です。
都市の中で生きていると「理にかなう(合理)」ということが
人間のある種の判断の基準になっていきますが、養老氏はそういう合理的な判断を行おうとする人間そのものが「自然」であり、「不合理」な部分があると指摘しています。
普段、「合理」「理屈」、「ああなればこうなる」式で考えていた頭に、新鮮な考え方に移りました。良書です。



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