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身体の文学史 (新潮文庫)
養老 孟司

定価: ¥ 420
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発売日: 2000-12
発売元: 新潮社
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解剖学者としての知見をもとに、現在の「脳化社会」をさまざまにとらえてきた筆者が、近・現代小説を分析して、日本文学史、さらに日本人と日本文化に対して大きな視点からの批評を試みた、スリリングな問題提起の一書である。筆者によれば、江戸時代は心=脳をもって、「身体という自然」を隠蔽した人工社会であり、そこでは「型」が大きな力を占めていた。近代もその延長として、一方で「個」の幻想を求めて型を喪失していきつつも、精神が身体を抑圧した社会であり、漱石の『こころ』はまさにその象徴であった。芥川龍之介の中世(江戸以前)への注視は身体回復の指向を見せつつも、それは「心理という人工」に絡み取られているという。森鴎外、小林秀雄、大岡昇平ほか日本文学史に登場する作家は、押しなべて「身体」そのものから遠ざかったところにあるが、筆者は深沢七郎の中に、江戸以前の「身体」のもつ力を垣間見る。そして、三島由紀夫に、徹底的に脳化された社会と個における「表現としての身体」を見、その歪みとともに現在への予見性をいう。 筆者は書き継ぎながら思考を展開しており、決して読みやすい本ではない。しかし、文学と生理学や社会学などとの架橋は、いくぶんのきしみを感じさせつつも、文学史のグローバルな読み替えを促す。時代の現実がバーチャル・リアル化し、社会がマルチメディア化すればするほど、逆に身体の問題の重要性は高まってくるに違いない。人間の身体の構造が科学的に解き明かされつつも、身体そのものがますます人間から離れていくように感じられる現代である。身体とは何か、時代の中で身体性は回復され得るのか、普遍と個にまたがる文学の言葉の可能性を遠望しながら、筆者の問いかけは文学史を越えて根源的であり、また今日的である。(内藤 明)
面白い文学評論本
独特の視点から文学をとらえた評論集。私には特に森鴎外、芥川龍之介、夏目漱石、三島由紀夫、そして深沢七郎の評論が大変面白かった。深沢以外は語りつくされた感のある作家たちだが、専門家ではないだけに切り口が非常にユニークに感じた。深沢に関しては完全に認識を新たにし、読み返すことができたことでこの書に感謝している。
この同じ人が数年後、自己陶酔したような「バカの壁」とその類似書を連発するのが信じられない。
現代人の忘れ物
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文学の考察というより社会の診断のようだ
著者の文学作品の読み方は、内容ではなく前提に眼が向いている。(書いた人にしてみれば不本意かもしれない。そうやって読んでほしくて書いたわけではないだろう) 前提というのは作品を書いた人の価値観で、価値観はその人の生きている社会に拘束される。この本で扱われている作家は、それを無意識にまとう人、そこから先へ進もうとする人、視点だけ先へいったが身体がついていかない人と様々だ。どんなタイプにしろ、作家なんて社会の中では炭坑のカナリヤみたいなものだ。だから養老氏の批判は作家個人ではなく、その作家の価値観を生んだ社会のほうへむかう。このひと自身もカナリヤだ。鳴いているうちはまだ大丈夫(問題は多いが)な気がする。長生きしていろいろ書いて下さい。
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