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半島を出よ 下 (3) (幻冬舎文庫 む 1-26)
村上 龍

定価: ¥ 800
販売価格: ¥ 800
人気ランキング: 33248位
おすすめ度:

発売日: 2007-08
発売元: 幻冬舎
発送可能時期: 通常24時間以内に発送
長かったぁー、活字地獄。
とにかく長かった。
もう私には村上龍を読む力が残っていないのかと何度も自問自答した。
結局誰に感情移入してよいかわからず、くどくどと長い文章の中で、とっとと終われよとばかり思っていた。
内容的には、こんなに引っ張らなくてはならないものかなという疑問でいっぱい。
ディテールにこだわっているんですよというのであれば、住宅ローンを抱えた人たちのローンの支払いがどうなるのかとかというところまでこだわってほしかった。
あまりにも、のんきに暮らしすぎている。
まぁ、村上龍は、住宅ローンなど抱えていない、仮に抱えていたとしても、負担感などないから想像できないんだろうな。
いずれにせよ、若者向きの作家だな。
傑作
傑作である。
北朝鮮の特殊部隊が福岡に上陸し、市を占拠する、というアクロバティックな設定ではあるが、読ませる。作家の資質というのは想像力と表現力に尽きると思うが、両方が十分に発揮されている。
最近の「経済かぶれ」で誤解されているかもしれないが、村上龍は基本的にラディカルな作家である。ラディカルというか、アナーキーと言った方がよいかもしれない。つまり、国家とか、大組織とかいうものをあまり信用していない。運命は自分で切り開けるし、切り開くものだと思っている(はずである)。経済の知識とかお金というのはあくまでそのためのツールでしかない。
最近では、軟弱な世相を反映してか「人間いくらがんばっても運命には抗えない」みたいな、Yoshi君とか『世界の中心で、、、』みたいな作品群が人気を博しているが、改めてラディカルな作家として村上龍を位置付けてみると、この小説はそういう考え方へのアンチテーゼを示しているとも言える。ちなみに、別に「運命」の箇所は、「家族」でも「国家」でも「組織」でも「遺伝子」でも、何か抗いがたいものであればなんでもよい。「そんなの関係ねえ」っていうのが村上龍の基本的な態度である。
何か困難に対面したときに、人間は何か抗いがたい大きなものへ原因を求めがちである。「運命だから」とか「家のしきたりだから」とか「会社が言うんだから仕方ないでしょ」とか「わたしって何食べても太っちゃう体質なのよね」とか「おれだって生まれつきこの顔だから文句いうなよ」みたいな。そんなの関係ないのである。いや、そう言い切るとちょっと苦しいが、少なくとも、200年前に比べたらあんまり関係なくなってきているはずである。
『半島を出よ』というタイトルは、もちろん半島を出て日本にやってきた北朝鮮特殊部隊員(めちゃくちゃ優秀である)のことを想起させるが、彼らが真に出るべきだったのは、北朝鮮という国家の軛だったのかもしれない。また同時に、「半島」というのは、日本人が知らぬ間にひたっている、なんだか軟弱な運命論のことなのかもしれない。
もやもやとした読後感
話題を読んだ作品であるが、その理由は設定にあると思う。私自身もそこに惹かれて読み始めた一人であるが、率直に言うと、もやもやとした読後感が残った。
まず、作品としてのフォーカスのあて方が、私の期待した方に進まなかったようである。具体的に言うと、登場人物達の心情にフォーカスがあたりすぎていて、政府間の対応や戦闘シーンに物足りなさを感じた。
また、作品の展開に重要な意味をもつ少年達であるが、彼らの会話に使われる言葉遣いに対する違和感を覚え、また彼らの抱えた背景に対し、どうしても感情移入ができなかった。
さらに、後半の戦闘シーンにおいては、(ここで、日本の文化の洗礼を受けて退廃していく様子を示しているのかもしれないが)これほど周到な準備をして日本に潜入したコマンドにしては、いとも簡単に・・・・という印象を強く受けた。
ただし、この作品に関しては、何も考えずにこの展開や表現を用いたのではなく、作者が深く考えた上で精魂込めて作品を仕上げているという、パワー・情熱を感じた。それがたまたまたくさんの読者の中の一人である私の感覚とマッチしなかっただけなのだろう。作者には申し訳ないが、作品の中盤から後半はどうしてもついて行けず、斜め読みしてストーリーだけ追わせて頂いた。
作者自身が後書き等でふれているように、かなり前から取材などの準備をして書いたものだとは思うし、これらに基づく描写は興味深いものがあり、作者が提起している問題も的を得ていると思う。しかし人に勧められる作品かというと、かなり微妙である。
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