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悲しき熱帯 (角川文庫 (5803))
村上 龍
定価: ¥ 399
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おすすめ度:

発売日: 1984-09
発売元: 角川書店
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悲しき才能
初期の村上龍の傑作短編集。
この頃の村上の才気は凄まじいと思う。この短編をどれを読んでも 熱帯のむっとする空気が感じられる。熱帯というと リゾートでは
ないが 楽しい気がするが それを「悲しく」描き出している村上の
感性は 当時は先鋭的であったと思う。
この頃の村上の才気を愛しているだけに その後の彼の彷徨ぶりが
いささか残念だ。当時の路線で続けていたら もう村上はいなくなって
いたのかもしれないが 出来れば それで行って欲しかった。
なぜ、自然は懐かしくいとおしいのか。
懐かしい自然にあふれた風景。
なぜかそれがいとおしい。
東京で生まれ東京で育ち東京で生きる僕の
ような人間に「自然」は決して、原風景などではない。
なのに、なぜいとおしいのか。なぜ自然を美しいと感じるのか。
それは、我々が「人間が作った」「近代」という
直線的なシステムを見て育ったからこそ、そこからの開放を感じる為だろう。
作中に描かれる、自然にあるものと後から作られたものの断絶。
それは僕らの逃げ場所の崩壊を意味するのではないか。
人の作ったモノが入り込むことで生じる亀裂。
原風景を持たない私たちにとっても、なぜか心が痛む。
パワフルな長編の多い著者の作品群の中では決して目立たないが、
良心にあふれ、優れた短編が収められている。
村上龍とは?(個人的視点から)
村上龍の本は、6年前から読み始めて、ほとんど読んでいるが、いまだによくわからない。
よくわからないというのは、もちろんつまらないということではなく、すごいのは確かにわかるのだが、いまだに対象化できない。アヴァンギャルド・ポップに近いかと思うとそうでもないし、わかりやすい情緒があるわけでもないし、かといってそんなに難しいわけでもないし、ジャズでもテクノでもハウスでもなく、アートでもコマーシャルでもない。カテゴリーに括ることができない。わかりやすいインテリではないのは確かだが。(きっとそこが凄いんだろうな)
ロックンロール、キューバ、クラシックが好きだというが、趣向が合わないから、よくわからないのかもしれない。だからといって、村上龍がキューバ好きだから、自分もキューバを聴く、というのは違う気がする。村上龍をまだ追いかけたい気もするが、村上龍は常に正しいんですよ、というのは宗教的なので、常に懐疑的な目で読んでいるが、やっぱり正しかったりするので、ジレンマ。ミニマル・アートよりも、アンディ・ウォーホルのポップ・アートの方が好きなんだそうです。ミニマル・アートは通り過ぎるそうです。この文庫の解説は、なぜか栗源慎一郎です。
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