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「教育の崩壊」という嘘

「教育の崩壊」という嘘
村上 龍
「教育の崩壊」という嘘
定価: ¥ 1,365
販売価格: ¥ 1,365
人気ランキング: 138598位
おすすめ度:
発売日: 2001-02
発売元: 日本放送出版協会
発送可能時期: 通常24時間以内に発送

昔から子供の気持なんて大人にはわからない
 「子供が分からなくなった」という言い方をする人に対して、僕は「子供の気持なんて昔から大人にはわからない」と答えることにしている。だいたい昔の大人は子供の心なんてさほど考慮に入れていなかった。
 この本は教育にかかわりのある人と村上氏の対談という形でNHKの特別番組への出演前後の村上氏の教育に関する考え方をさらりとまとめたものだが、全体を通して感じられることは「誰でもそう思うよな」ということだ。
 学級崩壊という言葉に代表されるような教育の危機が叫ばれる今、それが昔の子供と現代の子供との比較で語られてしまうことの不自然さや、17才の事件に関するマスコミの報道の偏りなど、当たり前に考えれば誰もが疑問に思うことを村上氏は対談を通してひとつひとつ確認していく。
 父性の学校(バーチャル社会)から母性の学校(託児所)へとシフトしていく途上、もはや父性的なものは無くなるのかとも思える。問答無用で理屈が通じない昔のオヤジ。子供心に不満ではあったが、今思うと僕にはそんなオヤジとの対立が無意味だったとは断言できない。もの分りよい親を演じることで「親の責任」を回避するような家庭で育てられた子供がどうなるかは、教育に関わる者なら誰でも知っている。最近世間では、ことあるごとに心理学的に分析してあーだこーだ言ってるけど。本当に子供の心は一切傷つけてはいけないものなのだろうか?そのまま社会に出で本当に大丈夫なんでしょうか?


「権威によるコントロール」の崩壊
 高度成長期に親や教師が権威を持ち得たのは、価値があるとされる集団、つまり良い官庁・銀行・企業に入りさえすれば、高い利益が保証されるという生き方を子供に示すことができたからだった。経済的な豊かさを達成し、別の体系の情報がテレビなどマスメディアから提供されることで、親と教師の「権威によるコントロール」が崩壊し、これからは「コミュニケーション」という方法に切り替えていくしかないが、それは容易ではない。わたしたち大人は、どう生きればいいのかを、職業・仕事の多様な選択肢と、充実感を得る方法を含めて、個別の希望を子供に示さなければならないのだと思う。



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